こんにちは、整骨院自費導入アカデミー主宰の松村です。
前回のブログ『情報の真偽について』で、自費導入や移行に成功した人のほとんどは、何かしらマーケティングを勉強し、実践したということを書かせていただきました。
しかし、ここで勘違いしてはいけないことがあります。
マーケティングというものが、値引きや不安を煽り立てるチラシを作成して、配りまくることではないんです。
でも、巷では「反応率驚異の〇%のチラシ無料プレゼント!」なんていう、それこそオファーでメルマガ会員を集めたりしているせいで、そういうチラシをまく、ホームページでそのように煽り立てれば患者が来るという勘違いをしがちなんです。
前回記事に書かせていただいたように、
コトラー博士は
「マーケティングとは,価値を創造し,提供し,他の人々と交換することを通じて,個人や組織が必要(ニーズ)とし欲求(ウォンツ)を満たすことを意図する社会的,経営的活動である」
と言ってます。
まず、自分、もしくは自分の院や治療の価値がどれほどのものなのか分析しないといけません。
今のままでダメなら、新たに作っていかなければなりません。
そう、とことん自分や自分の院、治療を落とし込む必要があるんです。
それができれば、ターゲット設定等もできますし、フロントエンドやバックエンド、LTVなんて言うのもできてくるものなんですね。
だから、むやみに煽り立てたチラシをまくとか、ネットで今流行りのランディングページ風のサイトに変えてPPCがんがんやって新患の集めるとか、そういうことは、価値を創造してしまえば普通はできなくなるものなんです。
アカデミーでは、まず価値を創造するために、ワークも行います。
もちろん、月1回のセッションでできない場合は宿題となります。
このワークは、私が自費に移行し、院を潰しかけた時にやった内容に加え、アカデミーの特別講師をしていただいている、歯科専門の内装デザイナーの矢根克浩氏が歯科医の先生に行うセッション内容、そこにマーケティングのための前段階のワークを加えた、かなり密度の濃いワークになってきます。
実は、このワークが辛い・・・時もあります。
自分の内面との対話。
もしかしたら、今まで
「〇〇なのは、〇〇のせいだ!」
とか
「〇〇になってしまったのは、あいつが〇〇したせいだ」
などと思っていたようなことまで、実は自分自身の責任だったと認めざるを得ない作業になってくることもあるからです。
まあ、経営者なので、すべては自己責任であるというのは、至極当然のことなんですが、それでもやっぱり、辛いものは辛い。
私自身も、禅問答のようなことをしました。
自費に移行して結果が全く出なかった時、私は本気で
「保険を喰いモノにした世代の柔整師のせいで、今はこんな業界になってしまった。」
「その下の世代は、それに歯止めをかけるばかりか、今度は師弟制度等をぶっ壊して、なんでもかんでもシステム化、マニュアル化して、業界レベルを低下させやがった」
「俺の院が流行らないのは、そういう奴らのせいだ」
そう思ってました。
もちろん、業界を悪くしたのはその世代ですし、家業を事業にしていく際、絶対に省いてはならないものを省いてしまい、業界の質の低下を招いているのは事実です。
しかし、よくよく考えると、それと私の院に患者が来ないということは関連性がないわけです。
保険で、一度は流行っている部類の院にして、ゴッドハンドや名人ではないにしろ、そこそこの技術レベルまで修練して身につけて、いつの間にか傲慢という名のプライドの鎧を心にまとってしまっていました。
その鎧は、心の皮膚と癒着します。
はがすのは痛い。
癒着が強ければ強いほど痛みも増すわけです。
私がその痛みに耐えることができたのは、柔道と、この業界の修業のおかげでした。
柔道で、先輩に意味もなくタコ殴りにされる、毎日、10回以上絞めて落とされる(休み時間に廊下で落とされたこともありました)、耳は肘打ちでつぶされる、練習でボロぞうきんのように投げられまくる、監督からはゴミ扱い、怒られる時はエグいくらいの人格否定、存在否定の言葉を浴びせられる(「死ね」とかは当たり前でしたね)・・・・
それに比べたら、心も身体も全然痛くないです。
修業時代、兄弟子にぶん殴られる、安い給料で朝から晩までこき使われ、金がないから食べるのはモヤシばっかり、学校と柔道と仕事の三足の草鞋で6年間もストレスフルな生活を続けていた頃に比べると、全然痛くないです。
そう、私の場合はそういう、しょーもないプライドが出てきた時には泥水をすするようなキツい経験をすることで、当時は恨み辛みしかなかったような経験で成長できてきました。
それぞれ当時は嫌で嫌で仕方ありませんでしたが、思い返すとそういう試練等で成長してきました。
だから今、報徳柔道部には何か貢献できないかいつも考えてますし、当時の修業時代の先生方にはみな感謝だと思ってます。
そんなことを考えると、一旦こだわりを捨て、本当の自分を見つめてみることなんて、屁でもありません。
それよりも、志を持って開業した院をつぶしてしまう方が辛い。
そう思えた瞬間に、何かわかりませんが、自分自身が少しレベルアップできた実感がありました。
もちろん、今この文章ではこう書いてますが、スムーズに事が運んだわけではありません。
「なんで柔整師になったんやろ?」
「なんで開業したんやろ?」
「違う人生ってあったんかな?」
「警察に誘われた時にそっち行っときゃよかったかな」
なんて思ったり、車に乗ると、フルスピードで壁につっこんでいきたくなる衝動に駆られていました。
「うちの院に今患者が来ないのは、すべて自分の力量不足が原因。そして今足りないものは〇〇だから、それをとことん補っていこう」
こう考え、自分が欠落しているものを補っていくことをしました。
そんなプロセスを経て、今があります。
ですので、ワークは正直辛いこともあります。
私はせっかく縁ですので、年上の先生であろうと、自分よりもベテランであろうと、ダメなものはダメとはっきり言わせていただくようにしています。
しかし面白いことにベテランの先生ほど素直に受け入れてくださるんですよね。
本当にありがたい限りです。
個人的に嫌われることを恐れるよりも大事なことがあるからです。
しかし、このワークをすることで、自分や自院の本当の価値や新たな価値を創造できるので、それだけで飛躍的に売上を伸ばすことも可能ですし、価値をしっかり創造することなので、院が揺るぎないものになります。
価値を創造できてから先の売上を考えると、相当な値打ちになるのです。
まさに
「No pain,No gain.」
だと思います。
だから、アカデミーの入会金は30万円するのです。
この、価値を創造する前に、マーケティングテクニックを覚えてしまうほど、哀れなことはありません。
マーケティング=宣伝
と勘違いされている方は、まだチラシやホームページを作成しない方がいいです。
結果が出ないから言ってるわけではないんです。
マーケティングノウハウはあちらこちらに出回っておりますが、それのどれもがどなたかが結果を出した(反応率がいい)ものなので、結果が出てしまうのが怖いんです。
また、徹底的にマーケティングのノウハウだけを勉強し、院の仕組みまで作り上げてしまったら、短期で儲かり、そしてそこそこ維持していくことが可能だから怖いんです。
「なんでやねん、儲かって、しかも、維持できるんやから。何がそんなに悪いねん」
そう思われることでしょう。
次回はそのあたりを書かせていただきたいと思います。