自宅兼治療所というスタイル

こんにちは、整骨院自費導入アカデミー主宰の松村です。

さて今回は、色々ある開業スタイルの中のひとつ、自宅兼治療所について書いていきたいと思います。

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ご存知の方もいると思いますが、私は自宅兼治療所というスタイルで11年やってきました。

 

本当はテナントを探して開業する予定だったのですが、良いテナントがなかったんです。

当時は保険メインでの開業を考えていたので

・テナントは絶対に1階

・最低でも15坪の広さが欲しい

・なるべくスーパーや商店街の近く

・できれば西宮市内でも自分の地元の近く

・もちろん家賃は安いにこしたことはない

という条件で探していたんです。

不動産屋何軒もまわりました。

ありませんでした、そんな物件。。。。

当時西宮市内でテナントとなると、駅の近くばかりなんですね。
そうすると、良いところは空くわけがないので条件が悪い。
それなのに駅近だからという理由で家賃はクソほど高い。

正直、西宮での開業を諦めかけたんですよね。

それに大阪と兵庫では大阪の方が保険請求の単価も高くてOKだったので、もういっそのこと大阪で開業しようかと考えたくらいでした。

しかし当時、というかあれは働いてた整骨院の患者層が悪かっただけだったのでしょうけど、受付時間外でも平気で来て図々しく治療を受けるのが大阪人だと勘違いしていましたので、大阪で開業するくらいなら開業しない方がマシだとすら思っていましたので(現在そう思っているのではなく、当時の気持ちです)、かなり色々と悩みました。

そんな時、お世話になった方(この方のおかげで今の私があります)から「土地があるんやったら上に建ててやったらええやん」と提案されました。

もちろん、当時そんな予算がないのでビビっていると、「お金は借りるもんや」と言われ、色々知恵と人脈を使っていただき、無事自宅を建てるということになったのです。

いや〜、数千万の借金です。

気合いが入りました(笑)

初任給1万円だった男が、開業と同時に数千万の借金ですからね。
正直、額が大きすぎてわけがわかりませんでした。

しかも当時開業するというのは、自営業、経営者として成功するというよりも自分の理想の整骨院を作るということの方が大事だったのですが、借金の額が額だけにそうも言ってられないな〜などと考えながらも、当時はマーケティングという言葉も知りませんでしたので、とりあえず開業したという感じでした。

ま、そのあたりは今回のお題ではないのでまたの機会に書かせていただくのですが、実際に私は最初の修業時代は院の2階に住み込んで働き、その後も常に院の近くに住みながら働き、自宅兼治療所で開業して11年経過したので、その経験からメリットとデメリットを書いていきたいと思います。

 

INDEX

自宅兼治療所のメリット

・通勤時間が要らない

私は本当に朝が苦手にも関わらず当時は8時30分から受付開始していましたから通勤時間ゼロというのはとても良かったと思います。
そうじゃなかったら多分何度も朝は受付時間に開けられなかったことがあったのではないでしょうか。

・院の間取りを自由に作れた

テナントを借りる場合、スケルトン以外だとトイレの位置などが思うようにできないこともあります。
その点自宅兼治療所で建物から建てたのでスケルトンどころの話ではないので(笑)、内装は好きなようにできました。

・地元なので地の利が多い

私の場合は超地元での開業でしたので、まあどこに何があるかなどは熟知してます。
これは以外に有利ですね。
マーケティングでも市場調査を行いますが、その市場に子供の頃から住んでたわけですから。
ただ、西宮の場合は阪神大震災があったのでその後に修業に出た私は、阪神電車は高架になった、駅はひとつ減った、行き違いできた道が一方通行になったなどの変化にちょっと戸惑いましたが。

・急患対応しやすい

接骨院・整骨院の場合は外傷の治療も行うわけです。
そうなってくると、昼休み中や休診日であっても対応しなければならない場合もあります。
自宅から離れたところにテナントがあると、すぐに対応できないですし移動にも時間がかかってしまい、急患対応に対する負担は大きくなってしまいますが、自宅兼治療所なら階段降りるだけなので非常に対応しやすくなります。

・家賃が要らない

これ、一番大きいと思います。
もしテナント借りてたら、家も建ててないわけなので、自宅と院との家賃が必要になってきます。
家賃って嫌ですよね〜
土地持ってる人の特権ですけど、我々があくせく働いたお金を労せずもらっていくんですから。
家賃払うのだけは今でも非常にアホらしいと感じるんですよね。

 

とまあ、細々したものなどはまだまだありますが、大きくなこんなメリットがあります。
一番大きなメリットはやはり家賃でしょう。

 

自宅兼治療所のデメリット

・メリハリをつけにくい

要するに切り替えですね。
例えば通勤という行為で、プライベートモードから仕事モードに切り替えるという人もいるでしょう。
それがないので、上手にコントロールしなければダレてしまうこともあるかもしれません。
まあ精神的に強い人なら大丈夫ですが、私の場合は一時期ダレてしまったことがありました。

・プライベートがない

一番のデメリットはこれじゃないでしょうか。
特に保険時代の商圏は狭いので、まあ休日だろうがなんだろうが出かけると患者さんと遭遇する可能性が高いです。
ただ、私の場合はそこにあまりストレスを感じませんでしたが、仕事とプライベートをとことん分けたい方にとっては最大の苦痛かもしれません。
まだアカデミーとか始めるもっと前、私がまだ保険でバリバリやっていた頃にお会いした先生は

「患者なんてみんな大嫌い。どこかで遭遇しても絶対隠れるし、絶対見つからないようにサングラスとかしてる」

とおっしゃていました。
なんでも、嫌いな患者さんがいるということではなく、プライベートを侵害されるのが相当嫌だったようです。
まあ「患者さん大嫌い」ってちょっと極端ですし、来ていただいてる患者さん嫌いってどうなの?と思うところもありましたが、もしそんな先生が自宅兼治療所スタイルなんてやってしまったらストレスで死んでしまうんじゃないでしょうか?

あの先生、今もバリバリやってはるんやろか〜?っと書いていて思い出してしまいました。
家族がおられる先生の場合、自分がよくても奥様が嫌がるとか、お子様がおられた場合、学校等でのトラブルの際にトラブル相手が患者さんのお子様だったりすると言いたいことを言えずに泣き寝入りしちゃうんじゃないかなどの不安があるようです。

 

自宅兼治療所良い場合

さてさて、では自宅兼治療所というスタイルはいったいどないやねん?ということになります。
そこでメリットが活かされやすくデメリットが少ないんじゃないかという場合をピックアップしていきたいと思います。

 

・開業する場所が地元の場合

地元の場合、猫かぶっててもバレてます(笑)
昔ヤンチャだったとか、わかってるわけなんで。
でも、じゃあそれで地元の人が来ないかというとそんなことはありません。
これは自宅兼治療所とか関係なく、私は治療院事業って自分の地元でやることこそ醍醐味ではないかとさえ思います。
もちろんそうじゃない場合でも、その地に根を下ろしてやっていく覚悟があるのなら全然OKですが、最近は事業化しすぎて、分院の場合なんて決められた期間に売上目標を達成できなかったら閉院するらしいのですが、それではあまりにドライすぎます。

まあ、地元の場合は同級生のお母ちゃんだとか、おばあちゃんだとか、そういう人たちも受診されます。
事実、私の院にも私の小学生時代の同級生のお母さんがうちに治療に来ておられます。

「先生、子供の頃悪かったよね〜」

って笑いながら。。。。。

なのでどっちにしろプライベートもあってないようなものですので、地元の場合は結構自宅兼治療所という選択肢もありなんじゃないかと思います。

 

・急性外傷を診る(診たい)場合

休日にすぐに対応できる体制の場合、急患も増えてきます。
また、別にテナント借りてても対応できるやないかという声もありますし、それは私もそうだと思うのですが、患者さん側からすると、良い患者さんほど

「せっかく先生も休みなのに申し訳ないな。救急病院に行こう」

となる場合もあります。
でも、自宅兼治療所なら患者さんも少しそんな障壁が下がります。
電話しやすくなるんですね。
こちらも急患じゃないにしても、例えば試合の日にテーピングした方がいいという場合にでも

「日曜日の朝7時に来てください」

とか気軽に言えちゃいます。

あくまで私の場合は、という条件がつきますが、例えば電車で30分のところに通勤してたなら、ちょっと躊躇しちゃいます。

 

・経費削減したい場合

先ほどの家賃だけでなく、光熱費も2倍にはなりませんので節約できます。
例えば自宅兼治療所で開業し、経営が軌道に乗った後に家だけ引越してもいいわけです。
また、無駄な経費がない分人件費や広報費に回すこともできます。
このご時世には良い方法かもしれませんね。

 

まとめ

さて西宮でも未だに整骨院が増えてきております。
最近は、それこそ大阪等で分院展開しているところが兵庫県に進出してきました。
未だに「各種保険取扱・交通事故・労災」と書いて「肩こり・腰痛・膝痛・・・・」みたいに、なんでもかんでも保険効くみたいな表現での開業をしていますが、ある意味で感心します。
私がもし今から開業するならそんなことする勇気ないから・・・・
そんな中、今後個人で開業する人たちは、資本の大きいところには体力で勝てないわけですから、色々工夫してやっていかなければなりません。一昔前は自宅兼接骨院(兼柔道場)という院も多かったと思います。
地元で、地域に根ざした院作りをすると、広報にかける費用も驚くほど安く済みますし、お金以外のやりがいも出てくるかと思います。
そしてそういう院は強固です。
ただ、「事業」としてやっている院よりも、より強い、深い縁を患者さんと紡ぐことができるような気がします。
もちろん、将来分院展開などができないわけでもないわけですし、今後は下手にビジネスチャンスだなんだと都会に出て開業するよりも、自分の地元で確実に手堅くやっていく方がいい場合もあるでしょう。

自宅兼治療所というスタイルが今後開業される先生や、移転をお考えの先生の選択肢のひとつになれば幸いです。

投稿者: 正隆松村

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