あはき柔の広告に関する検討会(第1回)議事録を読んで

こんにちは、整骨院自費成功アカデミー主宰の松村です。
さてさて、今我々の業界を騒がせている広告規制について。

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会(第1回)議事録

が公開されました。
まだお読みでない先生はぜひお読みください。

 

まあ、まだ第一回目なので何も進んでいないって感じです。

話が進まない原因の中で感じた、今後議論していく上での問題点の中で個人的に気になったものをピックアップしていきます。

 

INDEX

今後議論していく上での問題点

①我々を医療と認めるか

広告だけの議論になるはずがなく、結局のところ「医科、歯科が規制されたんだから、あはき柔も規制!」ってなっているところに「我々が医療なのか?」という問題や無資格の整体、カイロ、マッサージ屋問題までが出てくることは予想通りでしたね。

 

医師会側の発言としては、医療的側面もあることは認めていましたが、「医師会内でも意見がわかれている」ということを言っていました。

では、そもそも医療とは何か?

これを考えていかなくてはいけない時期なんだと思います。

私の祖父は医師でした。
私の院は、祖父の「松村医院」の跡地にあります。
阪神大震災で院を閉めたのですが、私が開業した頃は祖父の患者さんもたくさん来ていただきました。

かれこれ40年以上前、マンモグラフィーもないのに乳癌を見つけて大病院に送ったり、聴診と視診と触診で肺癌を疑ってビンゴだったりしたようです。

私の祖父の頃の医療は、ある意味でArtな部分が多くありました。

今の病院はどうでしょうか?

なんでもかんでもレントゲン。
それでわからないならMRI。

病気はとりあえず血液検査で数値見る。

確かにそれによって、そこそこの診断能力を持つ医師を増やすことはできましたが、もはや医療は機械に支配されたものになってしまって、Artではなくなっています。

それが医療なんでしょうか?

病気を診るな、患者を診ろ。

よく言われる言葉です。

患者さんの身体の悩みを解決するためのものが医療だと定義するなら、我々も立派な医療です。

医療を、医師のアイデンティティの保持のために利用するのはもう辞めたほうがいいんです。

そんなことをしなくても、医師は凄い。
我々にはできないことをやっているんですよ。
我々にはない知識を持っておられるんです。

これから日本は団塊の世代が高齢者になり、医療保険だけでなく介護保険も年金もどえらいことになってきます。

そうなると、地域包括ケアにしてもやれ柔整が、やれ鍼灸が、やれ医師がトップだなんて言ってないで、全員がその道のスペシャリストなわけですから、それぞれが対等な立場のチームになって、日本の新しい医療というものを構築しないといけない時代なんです。

医療は医師のためにあるんじゃない、ということをしっかり理解すれば、我々が医療かどうかなどという、本当にしょーもない議論はしないでもいいと思います。

 

 

②無資格問題

いわゆる、治療院業界として絶対に外せない問題がこれです。
無資格の方は色々言いますが、無資格の人が引き合いに出す判例はそもそも、電気機器を使用してた無資格の人が鍼灸か何かの資格を持っている人に「資格ないのに電気流して治療や施術的なことをするのはダメ」と訴えられて裁判になった結果、「人体に害がないからこの電気流す行為に対してはOKよ」って判決されたものを、「人体に害がないことなら無資格でもやってOK。整体は害がないからもちろんOK」と解釈してずっと整体業をやっているわけなんですよね。

ただ、いわゆる整体的なものに関しては、そのもっと前に1度法的な規制がかかっているはずなんです。

しかし制度がなかった頃からやっていた人の職業を奪うことはできないから、「規制前からやってる人はOKね」っていう感じだったんですよね。

これ、私が勝手に言ってんじゃないです。
ちゃんと判例として残っています。
どこにも「整体無資格でやってOK」って判例はないんです。

私個人としては、無資格の方でも良い先生をたくさん知っています。
技術の研鑽も熱心にされ、人格的にも尊敬できる人がたくさんいます。

こんなことを書いて、そういう人たちに嫌われるのは私もイヤです。
でも、事実は事実でちゃんと述べなくてはいけない。
我々有資格者だけが制限がかかり、資本主義の競争で不利になるのは公平ではありません。

ただ、私もわかっています。
話の流れ上「無資格者」と表現していますが、多くの無資格者の方が

 

「本当は資格必要だけど、金も時間ももったいないから無資格でやっちゃおう」

 

って悪質な人なんて数少なくて、

 

「たまたま自分が出会った技術がカイロだったり整体術だったりして、資格問題や過去の経緯など知らずに職業にしてしまっている」

 

ということを。

しかし、こういう問題はちゃんと解決しておかないと、いつまでも、

 

「お金と労力と最低3年という時間をかけて免許を取得した我々」

 

 

「それほどの時間、労力、時間をかけないで開業した無資格者」

 

では溝があると思うんです。

あげく、今まで無資格の整体とかの人の多くが、散々

 

「柔整なんて保険使ってもんでるだけやろ。俺らのほうがちゃんとやってる」

 

などと批判してきたわけですよね?

 

「なんでもかんでも保険使って、ふざけんな!」

 

と思ってたことでしょう。

今の柔整の状況は、「ざまぁ!!」って感じでしょうか?

しかしね、今は違いますけど、我々の頃は柔整に入るために整骨院に弟子入りして、本当に本当に雀の涙ほどの給料で、今とは違ってかな〜〜〜り厳しく育てられて、寄付金数百万単位で支払って免許取ってんですよね。

私の場合なら、鍼灸入るのに200万、柔整入るのに同じ明治だから内部入学ということで合計350万支払って、なおかつ授業料は月換算にするとやく10万なので、鍼灸柔整で720万以上は支払っているから、合計で1000万円超えてるんですよ。

じゃあみんな金持ちのボンボンが学生かというとそんなことなくて、私も奨学金を今でも返済してますし、教科書とか実技用の道具とか兄弟子のお下がりとか持ってる人多かったんですよ。
食うものも食わず、本当にひもじく、辛い思いを堪え忍んで今があるんです。

 

「たった3年」

 

医師もよく我々のことをそう言いますが、我々の時代は「10年は開業するな」と言われてましたし、本当に貧乏で、学校に行きながら毎日働いて、定期試験だけでなく国家試験前でももちろん仕事は休めなくて、それでも「なにくそ!いつかは開業する!」と思って頑張ってきたんです。

この濃密な10年、愚弄してくれるな。正直、そう思います。

そういう事情もあるからこそ、無資格問題については我々有資格者のほうがナーバスになります。
先ほどの医療か否か、という問題も絡んできます。

ナーバスついでに言うなら、実は判例で問診は医師、もしくは柔整はあはき師のような資格を持っていないとしてはいけないというものがあるんです。

これは健康機器の無料体験の際に、体験者の方の名前や住所を聞くとともに、既往歴や家族歴などを聞いた行為が医療行為にあたるということで、医師が訴えを出したんですね。

そして判例は見事に「有資格者以外が問診するのはダメ」ってものでした。

これ、あまり有名ではないですけど判例として存在するんですよ。

となると、無資格者は技術を患者さんに提供するのは今のところスルーされているけど、問診したら確実に医師法違反になりまっせってことなんです。

ちなみに、アカデミー主宰の問診講座が国家資格者限定なのはそれがあるからなんです。

でもでも、もう何度も言いますが無資格だから悪、というわけではありません。
悪いのは、今まで国がちゃんとケジメをつけてこなかったから。

ここいらでちゃんとしないことには、無資格者の方々のアイデンティティにも関わってきます。

要するに、今後、無資格者を生まないような対策を講じると同時に、今、すでに存在している方々には「届け出制」という形で、市町村の保健所が認可してしまったほうがいいと思うんです。

絶対にあってはならないのは、

 

我々有資格者だけが制限を受け、無資格者が何の制限も受けずに、我々が制限があってできないことを平気な顔をしてできる状態

 

できあがってしまうこと

 

では、無資格者をどう取り締まればいいのか?という話になります。

今のままでは、取り締まるべきリストがないわけです。

じゃあ、リスト作ろうよと。

例えば飲食店。
食品衛生法、食品リサイクル法などの法律があります。
飲食の種類によっては風営法も。

そしてちゃんと届け出して、検査にパスしなければ飲食店を開くことができません。

別に調理師免許がなくても飲食店の開業はできますが、「食品衛生管理者」という資格がいります。(30人以上収容可能な店舗の場合は「防火管理者」も必要です)

この食品衛生管理者は、都道府県で開催される講習に1日出れば取れます。
受講料も1万円ほどです。

これと同じような、「〇〇管理者」って資格を1日講習で取得していただき、それを取得しなければ営業不可とし、期間を決めてしまって、「〇年4月1日以降は国家資格がないとダメ」とすれば、駆け込み開業は出てくるでしょうけど、これから先、こういう無資格問題は絶対に生まれないと思います。

最近はエキテンのようなポータルサイトに登録する際、無資格なのにSEOテクニックとして、登録時のカテゴリーに「マッサージ」や「接骨院・整骨院」「鍼灸」というカテゴリーに登録する無資格者もいます。それを指導するマーケッターもモラルがないのですが、我々ばかりが気を使って、無資格者が自由奔放っていう図式はそろそろ無くしていかなければならないのではないでしょうか。

なんにせよ、広告の制限について検討するなら、ここは絶対に後回しにしてはいけない問題でしょう。

 

 

③取り締まる側の問題

検討会でも発言されてましたが、保健所の人員問題を含め、様々な問題もあります。
無資格者をどうするかという問題も、結局は行政の現場レベルの充実と意識の持ちようが問題になりそうです。

実際、無資格者だけでなく我々の業界でも違法看板はよく目にします。
西宮でも、「肩こり腰痛ヘルニア坐骨神経痛捻挫打撲挫傷 各種保険取扱」って壁に書いてる整骨院非常に多いです。

なぜ多いか?

取り締まれてないからです。

なぜ取り締まれてないか?

通報がないと動かないからなんです。
ここは積極的な地域とそうでない地域とで差が出ます。

そして我々サイド。
我々も保健所から連絡が来ると正直ムカつきます。
正直、いつも走っている速度でスピード違反に捕まるような感覚です。

だって、通報さえされなければ、同じことやってても何も言われないわけですから。
院が流行った、目立ったことをした、という有名税的な不快感しかありません。

だから態度は悪くなりがちです。
行政の人って結構温厚な人が多い感じもしますから、そりゃなるべくなら我々と接したくはないですよね。

検討会では「とことん追い込めるかという根性」という表現をしておりました。
なかなかそんな根性ある人のほうが少ないですよね。
そういう点ではもう、行政内だけで片付けるのは無理なんじゃないですかね。

例えば私に委託してくれたら、気合いと根性入れてやったげますよ。
特に保険を違法に使っている院を中心に。笑

半分冗談ですが、正義感のある同業を活用するのはありだと思うのです。
そのかわり社団はダメですね。
社団だけ甘くして、「うちだと甘いよ」って会員集めに走りかねません。
どの社団も会員数減ってるので。

となるとかなり現実感薄いですよね。

もう市町村レベルの保健所だけにイヤな仕事を振るのではなく、各地方の厚生局も協力してやっていかないといけないレベルのことだと思うんです。

今のままだと、結局のところ広告規制に違反しておいて、目立ってきて保健所から何か言われたら変えりゃいいかってことになりかねません。

実際、歯科のサイトを見て回りましたが、結構違反したままのところ多いですね。笑

すでにザルになってるってことと、現場レベルに落とし込むまでしっかりリアルに作り込むってことをしないと、今回の規制のきっかけになったであろう、煽り系ダイレクトレスポンスマーケティングの手法を取るようなモラリティの低い国家資格者は、どうせこんな規制なんてモノともせずに図太くやっていきますよ。

もう我々だけを規制するんじゃなく、そういうモラリティの低いことを指導するコンサルを規制しなけれりゃ根本解決には到らない気がしますし、そっちを規制するほうが本当は人員も少なくてすみそうですし、そういうコンサルは全国にクライアントがいるので、地方レベルでなく厚生労働省レベルで対応すれば人員、予算ともに割けるからいいんじゃないかとさえ思います。

また、無資格者の取り締まりとともに、あはき柔の療養費はもっと厳しく審査すべきでしょう。
まだまだザルすぎます。

真っ当な使われ方をすることで、療養費はもっと減らせますので、その分を一旦は取り締まりのための経費に回していけば人員も確保できるのではないでしょうか。

 

 

声を大にして言いたいこと

身体のことで悩んでいる人を誇大広告で騙して集めてお金を稼ぐ、これは絶対にやってはいけないことです。しかし、残念ながらそういうことを平気でする輩は存在し続けます。

もちろん、「被害者ゼロ!」が理想だとは思います。

しかし、警察が存在していても犯罪がゼロにならないのと同じで、広告の規制なんてものはいくら厳しくしても結局悪知恵が働く人は抜け穴を探してそこをつついてきます。

B&Aだろうが、体験談だろうが、本当のB&Aや体験談もあれば、ウソのB&Aや体験談もあります。

そういうことでウソをつく輩がいるから禁止ってのは、人を刺し殺す人がいるから包丁の販売禁止って言うのと同じようなものだとも思います。

包丁買うのも届け出制にします?

正直、医科、歯科ではすでに規制を施行していますが、あまり現実的ではないなと思うんですよね。

 

「出る杭は打たれる」

 

医療業界で、美容は出過ぎた杭です。

規制の声は、消費者が騙されたということもあるでしょうけど、同じ医師業界からの声も大きいのではないかと思われます。

 

「あいつら、命扱わないで金稼ぎやがって」

 

的な妬みってないですかね?

 

確かに美容整形の場合、手術が下手ならえらいことになってしまいます。
ここは広告の規制ではなく、美容整形の医師の教育システムが問題なんだと思うんです。

 

我々の業界も同じです。

何が罪かというと、技術も学ばず開業したり、分院長をしたりして患者さんを騙して通院させ続けること。それと患者さんを壊してしまうこと。

正直、15坪ほどの広さで、一人で患者さんを診させていただいていて、なおかつ今でもちゃんと技術の勉強をしている私と、値引きバリバリやって、B&A加工したり、なにか特典を付けてポータルサイトにクチコミを書いてもらうことに注力している院と一緒にしないで欲しいんですよね。

こっちはちゃんとやってんですよ。

じゃあ、ちゃんとやってないところだけが規制かかるような仕組みを作らないと。
そうじゃないと根本的な解決にはならないんです。

広告の規制では、何も解決しません。

むしろ、情報はどんどん出させるべきです。

消費者もバカではありません。

たくさんの情報が出てくる中で、精査できるようになってきます。

手前味噌のようですが、私を頼って来てくださる患者さんは、

 

「いっぱいホームページ見たけど、そのどれも胡散臭くて、先生の院のホームページだけがちゃんとしていた」

 

と言ってくださいます。
うちのサイト、作りも古いのでリニューアル中なんですが、中身は正直に本当のことを書いてるだけです。

本当のことすら発信できなくなるのは、ウソをつく悪徳な奴らにとっては逆に追い風になってしまう恐れもあります。

我々有資格者からすると、規制緩和して欲しいくらいです。

どうせ規制しても根本的な問題は解決しません。
それならば、緩和しやがれ。

 

行政よ、医師からは素人同然の扱いをされているのに、今回のように都合の良いときだけ医療的扱いされて規制だけ強められ、「刺さない鍼」や「燃えないお灸」「リラクゼーションや整体という名のマッサージ行為」「応急処置以外の外傷への施術」という感じで業を侵害されて泣いている我々をこれ以上いじめないでおくれよ。

 

 

まとめ

さてまあ、別に誰にとっても別にプラスになる内容ではありませんでしたが、感じたことをそのまま書いてみました。

文中、無資格問題に触れていますが、ここは本当に誤解していただきたくはないのですが私個人としてバッシングする意図は一切ありません。
書いてあることは実際の判例と過去の事実である、ただそれだけです。

また、我々有資格者もいつまでも恨み言を言ってても何も変わりません。

まずは我々が、すぐにしょーもないダイレクトレスポンスマーケティングのノウハウに飛びつき、なんとか努力しないですぐに成果を出そうとする、その浅はかなマインドを変えていかなければいけないと思います。

あなたを頼ってくる患者さん、ひとりひとりに目を向け、その人を一生懸命治療するとジワジワと患者さんは増えていきます。

 

〇ヶ月で月商〇〇〇万円?

 

そんなの別にいいじゃないですか。
どうせ10年20年院を経営しないといけないんです。
まずは足元固めましょうよ。

みんながそうだと、しょーもないダイレクトレスポンスマーケティングを教えるコンサルなんて淘汰されるんですけどね。

なんにせよ、我々の仕事は患者さんあっての仕事です。
患者さんを騙すようなことだけは、規制があろうがなかろうがやってはいけないことということを念頭に置いて日々精進していきましょう。

 

 

 

投稿者: 正隆松村