本当にAIは治療家を淘汰するのか?

こんばんは、整骨院自費成功アカデミー主宰の松村です。

AI、最近流行りですね。
経営者の集まりに行くと、AIの話題で持ちきり。
そりゃそうですね、下手すりゃ自分の会社のサービスや商品がAIに取って変わられる恐れがあったり、その逆でAIを導入することで、小規模な会社が一気に世界レベルに上り詰めることができる可能性もあるのですから。

最近、我々業界のセミナー告知でも、「AIに淘汰されるで〜」なんて不安を煽ったセミナーもありますね。

結論から言うなら、そういう不安を煽ること自体、「AIをわかってないアホがなんか言ってんな」と私は思うわけですが、まあせっかくなので、素直でなんでも信じてしまう良い先生が、そういう不安を煽っているところのセミナーなんかを受講してしまって、下手に高額商品や高額セミナーに誘導されないためにも、書いていきたいと思います。

 

そもそも、AIとは何か

AIで業界がどうこう、を語る前に、まずはAIについての基本的な知識を知りましょう。

テレビや映画を見ると、どうしてもAIとロボットを混同しがちです。
しかし、ロボットはどれだけ精密な作業ができたとしても、それは人が命令(外部入力)しないことには動きません。

しかしAIは人工知能と言われるだけに、自分でどうすればいいか考え、判断し、そして実行します。
近い将来、「シンギュラリティ(技術特異点)」と言われる人工知能(AI)の思考力が、人間の思考力を超えるということが起こるとも言われています。

 

AIの種類

実はAIには、「特化型人工知能(Artificial General Intelligence[AGI])」と「汎用人工知能(Growing Artificial Intelligence[GAI])」とに分類されるんです。
その二つを少しだけ解説していきます。

 

「特化型人工知能(AGI)」とは

個別の領域に特化して能力を発揮する人工知能のことです。
有名なのは、将棋や囲碁ですね。
Googleの自動運転もそうです。

最近は癌の診断の正解率は人間より良かったという話題が出ていますが、これも特化型人工知能(AGI)です。
そういえば囲碁も人間が負けてましたね。

ただ、特化型人工知能(AGI)は、そのジャンルにだけ特化していますので、あらゆる要素を勝手に情報収集し、判断材料に加えていくということはまだできません。

ドラマ「ドクターX」でAIが診断を間違えたのも、患者の渡航歴と豚のホルモンをほぼ生で食べるという嗜好が原因でした。囲碁や将棋にしても、過去の対戦パターンをアホほど入力してこその実力です。

 

「汎用人工知能(GAI)」とは

異なる領域で多種多様な、そして複雑な問題を解決する人工知能のことです。
この汎用人工知能は、AI自身による自己理解、自律的自己制御ができると言われており、人間が設計した時の想定をも超える働きを期待することができます。

テレビや映画で見るAI、古くなら鉄腕アトムもそうですし、映画ターミネーターのAIもこちらのほうです。
しかし、開発していくための問題が非常に多いため、実現されているものはほとんどないと言われています。

これができれば、人間の手を離れ勝手に判断基準を設け、勝手に色々なことを実行していくことができるようになります。

 

AIのレベル

AIにもすでに実用化されているレベルから、今後の実用化に向けて研究されているものまで、その働きによってレベルがあります。

 

レベル1:制御システム

例えば最近の冷蔵庫やエアコンで「AI搭載」と謳っているのがこれです。
要するに、温度や湿度などを外の環境がどうであれ一定にできるということですし、もう少し良いものであれば、起床時間や帰宅時間を設定しておけば、その時間に快適になるように、その時の環境に応じて風量や風向きなどを勝手に調整することができるというものです。

これは、要するに「命令されたことを忠実にこなす」ということになります。

 

レベル2:ルール内で効率を上げる

人間がルール(判断基準)さえ設定しておけば、そのルール内で様々な状況に応じて目的を達成するための手段を選択し実行します。
現在の医療用AIはレベルだと思われます。

 

レベル3:判断基準からルール設定、自動学習する

人間が判断基準さえ入力しておけば、その基準に則って、自らルールを設定し、手段などを選択していきます。

このあたりからわかりにくくなりますよね。
身近な例だと・・・

検索キーワードを入れると似たようなワードを自動的に表示、多少であれば検索キーワードに誤字があった場合でも、ある程度予測して、自動的に検索キーワードを入れ替える。

膨大なサンプル数から自動的にそのパターンを学びルールを設定することができている事例です。

これ、Google検索のことです。

 

レベル4:全部勝手にやる

これがAIの真骨頂ですね。
レベル3までは、判断基準を人間が教える必要がありましたが、様々なデータから勝手に判断基準を作り、ルールも設定し、勝手に色々やっていきます。

先述した「シンギュラリティ(技術特異点)」は、このレベルのAIによって起きるとされていて、なんと専門家は2045年にシンギュラリティが起こると言っています。
今から約20年後・・・

多分まだ生きてそうですね。

 

量子力学と治療

「おい!AIの話やのになんで急に量子力学やねん!」と思われたことでしょう。
まあちょっとだけですので我慢して読んでください。

 

ずっと疑問だったこと

私自身、保険で院をやっていた頃は「とりあえず短期間で流行る院にして分院展開!」と考えていました。
おかげさまで開業して半年経った頃には、たくさんの患者さんに来院していただき「流行っている院」に分類されるまでになりました。

資金もあるから雇用もできる。

いざ雇用し、すべてをマニュアル化しました。

実は私は柔道をやっていたため体育会系と思われがちですが、中身はバリバリの理系。
大学も工学部なんですよ。(プールとか橋の設計図書いてました)

私自身、修業時代はワンマン経営のところでしか働いたことがありませんでしたから、自身の院は徹底的に数値管理しようと思っていました。

ですので、ベッドの回転率、スタッフの生産性など、数値化できるものは全て数値化していました。

面白いもので、同じ時間、同じ手法で患者さんを触るのに、スタッフと私とで全然効果が違うということが起きました。

最初は

「院長が触ってくれるってだけで安心感が違うからプラシーボみたいなもんやろ」

くらいにしか思っていませんでした。

でも、どうもそうでもない。
微妙なタッチやキャリアの差だけでも説明できないこともある。
なんでだろう?とずっと疑問でした。

 

自費にしてわかったこと

あまり公にはしてこなかったのですが、実は私は触るだけで可動域を変えたり、筋肉を緩めたりすることができます。これは、「柔」という古流柔術のテクニックを治療に応用したものです。

でも、当時は、いや、今も私自身、やってみせることと、手法を教えることはできても、それを論理立てて説明することができなかったので、治療をマニュアル化するにあたり、一切封印していたのです。

手法自体はそれほど難しいものではないので(もちろん、達人クラスだと凄いとは思いますが)、誰でもできるようになります。(実際、アカデミー内で治療講習会を行いましたが、受講された会員の先生全員が手を握るだけで受ける側の可動域や筋肉の緊張を変えることができました。)

一人院で、そして自費でやっていく上で、最初は売上で苦労しましたが、治療に関しては開放感しかありませんでした。

封印を解く・・・といえば非常にカッコイイ感じがしますが、「スタッフに気を使わんでもええんや!」という喜び、そして自身が本気を出すことで、一気に治療レベルが上がった、というか、本来の自分のレベルが院のレベルになるという状態にすることができました。

 

「場」がよくなる

不思議なことに、ストレスがなくなると保険時代から受診されていた患者さんが来られたときに

「なんだか院が明るくなりましたね」

と言われました。

そんなはずはありません。
月商20万円で、「来月ヤバイ!」という状況のはずなんです。
本当にピリピリしていました。
それを忘れることができるのは患者さんを治療しているときだったくらいですし、本当に死ぬことを考えていましたから。

でも、患者さんは「明るくなった」というんです。
私にとっては、他者のせいで自身を制限されるストレスのほうが、お金に困るストレスよりもきつかったのでしょう。

場作りは、整理整頓や清潔さなど、いわゆる「当たり前」のことはしっかりしていないといけませんが、それ以外の要素として、中にいる人とその人の感情というのにも深い関連性があると感じました。

 

量子力学で全て説明できる・・・かも

〇〇筋がどこからどこに付着していて、筋膜が〇〇から〇〇に走行していて、それを根拠にこうアプローチ・・・

という完全な西洋医学的な治療があります。
それ以外にも、いわゆる東洋医学、エネルギー療法、霊障を取るというものまで存在します。

解剖学に基づいて治療をすることは、治療家としてはとてもいいことだと思いますし、治療家として人体を知るために絶対に通らないといけない道だと思います。

では、東洋医学やエネルギー療法はウソなのか?
それは違うと思います。

私自身が、膵炎を鍼灸と漢方で治していただいた経験もありますし、アカデミー会員の先生でも数名エネルギー療法で結果を出している先生もおられます。

実は、東洋医学やエネルギー療法を科学的に説明できる可能性があるのが、量子力学だと言われています。
もちろん、まだまだ未知の学問ですので、人間が解明するより先に、それこそレベル4のAIが解明しちゃうかもしれませんが。

量子力学では、有名な「ダブルスリットの観察実験」というものがあります。
詳しくはググっていただくとして、結果だけ書くと、量子はモノであるにも関わらず、状態のような動きをするが、それを観察するとなぜかモノの動きになるというものです。

要するに、観察しなければ物体のクセに今までの物理法則を無視したわけのわからない動きをするのに、いざ観察すると物理法則に則った動きをするということなんです。

「見られている」ということがわかり、動きを変えるんですね。

今回は量子力学がテーマではありませんし、私自身量子力学はまだまだ浅い知識しかありませんので、アホがバレる前にこれくらいでやめておきます。

しかし近い将来・・・

「アメリカでは〜」
「解剖学的に〜」

などと言ってるのは時代遅れになり、東洋医学やエネルギー療法が「量子力学的には〜」と言われる可能性も高いということになります。

先述した「場」も全て説明がついてしまうようです。
場作りによって、患者さんが治療を受けやすい、患者さんの身体を治療効果が出やすい状態にするということが実際にすでに存在しているのですが、それが近い将来科学的に説明できるようになるということになります。

 

AIは治療家を淘汰するのか?〜理論編〜

さてさて、冒頭で書いたようにAIが出てくることで院は潰れるのでしょうか?
レベル別に書いていきたいと思います。

 

レベル1のAIができる範囲

せいぜい「機械にしては上手な」マッサージ機だと思います。

 

レベル2のAIができる範囲

例えばエコーについているドップラー機能などを付けて、血流量を測定し、その血流を一定の状態に改善するために、必要な筋肉に必要な強さで必要な時間マッサージ的なことを提供できるようになるかもしれません。

 

レベル3のAIができる範囲

レベル2の機能に「マッサージ以外で機械でもできる技術」を入れることも可能でしょう。
では、どんな技術が「マッサージ以外で機械でもできる技術」でしょうか?

それは・・・

「誰がやっても同じ」と謳っている技術、です。

院長だろうが、新人スタッフだろうが誰がやっても同じ効果が出る、と謳うのであれば、機械でも代用可能なはずです。

それならばレベル3のAIを搭載した治療機器ができてしまえば、間違いなくそうなります。

 

淘汰される治療家・治療院とは

レベル2のAIがもし業界に入ってきたとしたら、マニュアル的なマッサージしかできない治療家やそういうところで勤務して、下手に自信をつけて開業してしまった院長がいる治療院。分院展開している分院は機械に淘汰されるということが起こってくるかもしれません。

レベル3のAIがもし業界に入ってきたとしたら、「院長だろうが、新人スタッフだろうが誰がやっても同じ効果が出る」という技術しか知らない治療家とそれしか導入していない治療院が淘汰されていくでしょう。

「〇〇治療マシンは高いけど治るねん、〇〇整骨院は治らへんけど安いからマッサージしてもらいにいくねん」なんて言われる日が来るかもしれません。

あ、レベル3が治療院業界に出てきてる時点でマッサージも機械のほうが上手かもしれませんね(泣)

現段階で科学的にわかっているという治療だけしているとか、「誰でも成果が出せる治療」をしているところはAIに取って代わられます。そこは将来的には間違いないです。

治療を受けるための場作りをし、今はまだ説明がつかないけど結果が出る方法(気功、エネルギー、柔の技術など)を取り入れることで、治療家としては絶対に淘汰されないだろうと予想できます。

 

さて、ここまでは現場レベルの話になります。
まだ開発段階ではありますが、もしレベル4のAIが完成し、我々治療院業界に入ってきたとなればどうなるでしょうか。

 

レベル4のAIによって淘汰されるのは経営者!

レベル4のAIは、膨大なデータだけでなく経験すらも学習要素としてどんどん成長していきます。

「会社の利益をあげる」という目的で会社経営をするのなら、人間よりもレベル4のAIのほうがよっぽど有能。
治療家の先生の多くが苦手な数値管理もバッチリ!
レベル3までのAIが搭載された治療マシンを管理し、AI治療院の経営で分院展開していくことも考えられます。

例えばワンマン経営で、自分のイエスマンだけを側に置いて優越感に浸っているような経営者はまず淘汰されるでしょう。AIから見たら、好きとか嫌いとか、自分の思い通りになるとかならないとかで判断するほどバカなことはないでしょうから。

 

AIは我々を淘汰するのか?〜現実編〜

理論編で書いたことは、あくまで遠い将来の話。
だって、AIは知能だけなので、AIが判断したことを実行するための機械が必要です。
ネットの世界なら別ですが。

現段階でのAIは、効率化をしてくれます。
B to Bのビジネスのマーケティングでは、すでにマーケティングオートメーションという仕組みでマーケティングが効率化されています。ここにAIが入るわけです。

一部の有能な人、もしくは秀才レベルしかできなかった効率的な仕事をAIがやってくれる時代になっているわけです。

しかし、それだけです。
また、将来AIを搭載した人型ロボットが治療をするようになったとしても、量子力学が解明されない限り、「場作り」や「触るだけで身体を変える」ということは人間以外にはできません。

また人間も、人間と触れあうことに枯渇しているかもしれません。

ということは、大切なことは

どんな治療技術を使うか、より、誰が誰を治療するのか

ということではないでしょうか。

効率化ではAIには勝てません。
レベル3以上のAIが一般化して淘汰されるべきは、「できない経営者」です。
非効率な世界(今の科学レベルにおいて)にこそ、人が人としての価値を提供する「場」があり、人が人に触れるだけで変化が起こるという現実があり、それこそがAIができない、人だからこそできる世界だと思うのです。

安心してください、現実的には我々の業界にAIが搭載されたロボットが導入されるのはまだまだ先。
そのとき生きてるかどうかもわかりゃしません。

もし導入されたとしても、古い考えに固執した、古い治療をしていない限りは大丈夫です。
別に東洋医学やエネルギー療法をすごく勧めるというわけではありませんし、解剖学の勉強はイメージ力向上のためにも必須学問ですし、そういう解剖学的なことだけで治せる症状もあるので否定はしませんが、今、すでにわかっていることだけに固執せずに、そういう未知なるジャンルにチャレンジすることでもっと道は拓けてくるんじゃないでしょうか。

それと多分ですが、我々に取って代わるようなロボットができる前に、人の身体の一部、もしくは大半が攻殻機動隊のように機械化されるほうが早いと思います。

そのとき、我々は「人」である部分にアプローチすることに特化するか、機械の修理屋さんになるかを選択させるかもしれませんが、これもまだ先の話です。

肩こりや腰痛という症状を診るのではなく、肩こりになって困っている人、腰痛になって困っている人と、「人」にフォーカスして治療をすれば、「院長だろうが、新人スタッフだろうが誰がやっても同じ効果が出る」という技術なんて絶対に提供できないわけですので、そういう、正しい治療家は絶対に淘汰されないでしょう。

 

そんなことより・・・

他業界に目を向けることはとっても大切です。
でもね、AIがどうこう言う前に、はよ「外傷以外自費」でやりなはれ!!

AI出る前に、社会に淘汰されまっせ!

 

※付録 外傷とAI

さて、ここから先は付録ですので興味のある方だけお読みください。
柔道整復師として外せないのは外傷治療。
さて、これはAIによってどうかわるのでしょうか?

私は個人的に、一番危険な分野じゃないかと思っているんです。

というのも、骨折ならレントゲンやCTを撮影し、そのデータをAI搭載のコンピューターにほりこみ、「全自動整復機」が整復することが可能だと思うからです。
実際、すでにロボットが手術してる時代ですから。

それこそ、手法があっていれば誰がやっても同じ結果が出る技術じゃないですか、整復って。

固定にしても、専用のスキャナーで患部を計測し、3Dプリンターでシーネレベルなら作れます。
ギプスにしても、もし3Dプリンター内に手や足を入れられるようになれば、固定用の素材を巻き付けるように固定していくことは可能です。

実は私、安い3Dプリンターを持ってまして、その3Dプリンターのインク(のようなもの)が太い糸のようなものなんです。それを熱を加えながら指定の形にしていくわけですから、手や足を取り囲むように作っていくことはすでに可能なはずなんですね。

リハビリにしても、最初にリハビリメニューを構築し、可動域や筋力データを機械が勝手に計測し、その状況に応じてメニューを変えたり負荷を変えたりすることは絶対に可能です。

技術的に一番難関は「全自動整復機」だと思います。
そもそも、命に関わらないものの研究はなかなか進まないのが日本の医療界ですから。
ただ整復に関しては、決まった手法をすれば決まった結果が出るという点、そしてすでに科学的にある程度確立されているという点からも、今のレベルのAIでも結構良い仕事ができると思われます。

ただ、ここでも人間にしか出せないものも出てきます。

例えば今となっては悪名高くなっている肩関節の整復法の一つであるコッヘル。
実は暴力的でないコッヘルが存在するのです。

誰が何をしても入らなかった肩関節が、それで整復させたとか。
一応手法は教えていただきましたが、その先生から許可を得ているわけでもないですし、私自身、さすがに現場でその方法で整復したこともないのでここで書くことは控えます。

しかし、それを知ったとき、解剖学的にもあり得るなという整復でしたので非常に納得できました。

教えていただいた先生にはとても感謝ですし、教えていただいたときには鳥肌が立ったのを覚えています。

私自身はそれまで、他の先生と同様「コッヘルなんて」と言ってましたが、教えていただいて以来絶対に言わなくなりました。いや、言えなくなったというほうが正しいです。

まだまだ知らないことがたくさんあります。
それが案外、古くから伝わるものであることが多く、データとしても価値のないものと判断されがちです。
しかし、そういうことを知ることこそ、これからの時代を生き抜くために必要なことなのだと思います。

 


投稿者: 正隆松村