武術的観点から問診を考察してみる。


こんばんは、整骨院自費導入アカデミー主宰の松村です。

 

武道の用語に「居着く」という言葉があります。

 

宮本武蔵は「五輪書」で

 

「居着くは死ぬる手なり」

 

と書いています。

居着くというのは、なかなか言葉で説明しにくい部分もあるのですが、例えば剣術なら「袈裟切りで切ってやろう」と思うと居着いた状態と言えます。

それ以外にも、何かに心を奪われ上の空になった状態や、頭で考えてから動く状態、瞬時に反応できない状態などのことも「居着く」と表現されることがあります。

要するに、武道においてはあまりよくない状態だということですね。

 

実はこれは治療でも起こります。
というか、起こっています。

 

そして、「居着く」ことで治療効果が出なかったり、治療効果は出ているにも関わらず患者さんから不満そうな顔をされたりするのです。

 

では、いったいどのような「居着き」が存在するのでしょうか?

 

①治療家側の居着き

我々治療家は、どうしても「治してやろう」「痛みを取ってやろう」と思って治療に当たってしまいます。
中には開業したての場合や、開業してある程度時間は経過していても、いつまでも売上が安定しないことで「なんとか通わせてやろう(リピートさせてやろう)」と強く思っている先生もいるかもしれません。
もしかしたら、「なんとか痛みを一瞬で取って、『すごい!』って思われよう、言わせよう」なんて思ってしまうかもしれません。
これこそ「居着き」です。

 

 

②患者側の居着き

患者さんは素人です。
我々から見れば(診れば)、大したことのない痛みに対しても過度に不安を感じることも多くあります。
また、医療の世界では「痛み」があまり評価基準にならないのですが、患者さんは自分自身の痛みをあらゆる判断基準にしてしまっていることも多いです。
そう、「痛み」に居着いてしまっていることが多いのです。

 

 

 

このように我々治療側の「居着き」と患者側の「居着き」があり、それを解消しないままに治療してしまうことで、我々側からは「患者さんが言うこと(指導)を聞いてくれない」「不服そうな顔して帰られた」「なぜか次の予約を入れてくれない」という不満や疑問、患者さん側からは「あそこは全然ちゃんと診てくれない」「行ったけど全然よくならなかった」「全然話を聞いてくれない」という不満につながってしまうのです。

 

これはお互い不幸なことだと思います。

 

そして、それをなんとかしなくてはいけない義務があるのは明らかに我々治療家側です。

 

よくキャリアの浅い治療家が、「あの患者はなんでも1回で治ると勘違いしてるからダメだ」とか「素直じゃないから言うことを聞かない」などと言って、自分の義務を果たすことなく患者批判をしているところを見受けられます。特に技術の勉強をして、努力してそこそこの症状を治せるようになったくらいのレベルの時期に天狗になってそうなることが多いように思います。

 

私からするとそんなレベルなのに開業してしまうのは

 

カスだな

 

と思います。

まあここには「修業」というものがなくなってしまったところにも原因があると思うのですが長くなりますのでそれはまた別の機会に。

 

では、我々と患者さんお互いの居着きを解消するにはどうしていけばいいのかを考えていきたいと思います。

 

 

治療家の「居着き」を解消するには

①一つの技術に固執しない
実は私は節操がありません。
なぜなら、たかだかひとつだけの技術で、何もかも治ってしまうようなものはないと思っているからです。
これはひとつの治療法に惚れ込み、それ一本でやっている先生からすると非常に失礼なことなのですが、残念ながら事実がそれを証明してしまっているのではないでしょうか?

なぜなら、もしなんでも治せるたったひとつの治療法があるのなら、世の中からそれ以外の治療法は淘汰されているはずです。私は鍼灸師でもあるので東洋医学的なアプローチをしますが、東洋医学にしても万能ではない。
東洋医学がなんでもかんでも治せるのなら、癌の治療も世界的に漢方と鍼灸で行われ、結果を出していなければいけませんから。(あえて予防的観点は抜きにして書かせていただいておりますのでご理解ください)

患者さんは、決して先生方のこだわりのある治療法を受けたいから受診しているのではなく、症状があることで困っているのを解決したくて受診しているということを絶対に忘れてはいけないのです。

技術に惚れ込むのは非常に重要です。
惚れ込むからこそ、どんどん奥に進みたくなる。
悪い表現をするなら、「深みにはまる」とも言えます。
そして一つの技術につき最低一度は深みにはまる経験をしたほうがいいのも事実。

「この技術でホンマに患者さんはよくなるのかな?→この技術すげえ!」の段階から、今の自分のレベルでその技術を使いこなすことの限界を感じ始めるのです。
もちろん、技術を高めていくことも重要ですが、患者さんは毎日来ます。
そうなれば、他の技術を学ぶこともまた重要で、それを繰り返すうちにまた原点回帰したり、新たな技術のほうに傾倒したりしながら、治療家としてのバランスが取れるようになっていくように思えます。

そして、その段階あたりになると、技術に対する「居着き」はなくなってくるのではないかとも思います。
だからこそ我々の仕事は、永遠に「修業」なのかもしれません。

結果にはこだわってください、でも、その手段にこだわりすぎないようにしてください。

最近は「マッサージなんて」という治療家も増えてきました。
極論、マッサージしても治ればそれでいいんです。

余談ですが最近よく感じることがあります。
私自身、今ではマッサージ的なことはしませんが、実はむっちゃ上手です。
というかマッサージすら上手にできないのなら、マッサージを否定すんなよと思います。
マッサージでも、結構奥が深いんですよね。
それしかできなかった頃は、自分で筋肉の走行や筋膜などを考え、そこから患者さんの体型や性格なども踏まえて色々な手法を使い分けていたものです。
もんで治したこともない人間が、「もんでも治りません」と言ってはいけない、と思います。
脱線してしまいましたが、あくまで長期的目線で患者さんが治っていくという結果を目的として、その目的を達成するためには手段に拘らないというスタイルでいることが技術に対する「居着き」を解消できるひとつの方法と言えるでしょう。

 

 

②痛みに固執しない
「ん?それは患者側じゃないのか?」と思われた先生もいるかもしれません。
実は我々も「痛み」に固執してしまうことが多いです。
外傷の場合は、痛む部位が損傷部位であることも多いので、別に構いません。
しかし、慢性症状の場合はそういうわけにはいきません。
技術的なことはさておき、国際疼痛学会でも

「An unpleasant sensory and emotional experience associated with actual or potential tissue damage, or described in terms of such damage(実際に何らかの組織損傷が起こったとき、または組織損傷を起こす可能性があるとき、あるいはそのような損傷の際に表現される、不快な感覚や不快な情動体験)」

 

と定義されております。
外傷のように、実際に損傷が起こった時に痛みが起こることもあれば、以前の経験から「また損傷するよ」という警告として脳が痛みを感じさせることもあります。

また、最近は扁桃体の暴走と側坐核の関連からも、「痛みは脳が出している」的なことを科学的に証明されだしている時代です。

治療を適切に行うために痛みというものの情報に着目するのはいいと思います。
しかし、それを自分の治療に対する評価基準にしてしまって。痛みが取れないことにフォーカスしてしまう、要するに患者さんの痛みに居着いてしまうと、その居着きが患者さんにも伝染してしまいます。

医療の世界では痛みはあまり評価基準にしません。
それよりも、他のバイタルサインで評価します。
これは我々も同じであるべきではないでしょうか?

 

 

③エビデンスに固執しない
これも非常に重要です。
そもそも、よほどの科学的療法でない限り、エビデンスというのは比較試験の結果でしかありません。
東洋医学や古くから続く整体技術に、科学・医学が追いついていないことのほうが多いのです。
エラそうに「医療人ならエビデンスを!」などと言う人もいますが、医療人なら最優先でフォーカスすべきは患者さんです。エビデンスを疎かにしていいわけではないですが、エビデンスに固執してしまうことは非常によろしくないのです。
まあエビデンス、エビデンスとうるさく言ってる人が腰痛治療で鍼灸を否定してるというエビデンスに反することをしている例もあるくらいなので、所詮そんなもんだ位に思っていたほうがいいです。
もちろん腰痛治療における牽引治療や安静指導など明らかに治癒期間が遅くなるというデータは知っておいたほうがいいですが。

あ、ちなみにマッサージ。
腰痛治療には短期的ですが効果ありというエビデンスがあります。
マッサージ否定してる人たち、「効果ありません」は勉強不足の証明になりますよ(笑)

 

 

④型を作る
ルーティン化すると言い換えてもいいでしょう。
患者さんの治療に入る前もそうですし、問診も、治療後もそうです。

何も考えずとも身体が動くような、そんなレベルになるまで型を練習することが重要だと思います。
これは手技も同じですね。

これ、刀で巻藁を切ったことのある人ならわかると思うんですけど、言われた通りに刀を振ると本当に綺麗に切れるんですよ。でも、だいたい次が切れない。

一度スパッと切れる気持ちよさを体感してしまってるから、「もっと上手く切ったろ!」と思ってしまうんですね。

あ、銃刀法違反はしてませんよ。
私が柔道を習っていた頃に「柔道に役立つから古流もやれ」と言われて、その時の道場の先生が古流柔術の先生だったので高校生の頃から古流柔術もやっていたんです。
で、古流柔術というのは徒手だけではなく棒や刀もあるのでそこでやらせていただいたんです。

こう見えて柔道五段、古流柔術弐段です。
まあ弐段なんで素人に毛が生えたようなレベルですし途中で辞めたので流派名とかは出せませんが。

なぜ古流が型稽古を重視するのかというところには居着かないということもあるんだと思っています。

ちょっとマニアックな話になりつつあるので話を戻します。
要するに、極論「寝てても身体が動く」レベルにまでなればいいということです。(寝ていいわけじゃないですが)

 

 

患者の「居着き」を解消するには

①痛みの呪縛から解放させる
先述したように「痛み」が外傷性でない場合、極論「幻想」の可能性もあるということになります。
医療的にも、痛みは治療の評価につながらないです。
整体技術なら、身体の歪みや左右対称性にフォーカスして痛みにはフォーカスしませんよね?
それらをしっかり説明して理解していただくことが重要です。

これはある意味で認知行動療法に近いとは思います。

自分の身体を「痛み」という不確定要素で評価しないようにお伝えすることで、痛みの恐怖を和らげることもできます。
慢性的な痛みなら、それだけで痛みが軽減する患者さんもおられます。

 

 

②思い込みを外す
これは①とかぶる部分もありますが、痛みだけではなく様々なことを伝えていかなければなりません。

 

「1週間前にギックリ腰になったから、〇〇整骨院に行ったんです。でも痛みがなくならなかったから翌日△△整骨院に行ったんです。そこでも痛みがなくならなかったから整形外科に行ったんです。でもそれでも痛みがなくならないから今日こちらに伺ったんです」

私の院ではよくある光景。
このように、なんでもかんでも1回で治ると思い込んでいる人にはそうでないことを説明し理解していただかないといけません。

なんでも気合いで治ると思い込んでいる人には、そうでないだけでなくその思い込みによって症状を長引かせることもあるということを説明し理解していただかなくてはいけません。

 

 

さて、治療家側、患者側の居着きを解消することについて書かせていただきました。

順番としてはまず自分から変えていくべきでしょう。
なぜなら、自分自身が居着いたまま人を変えることなんてできないから。

そこから先はコミュニケーション能力です。

例えば、1回で治ると思い込んでいる患者さんに

「1回で治るわけないじゃないですか」

と言ってしまってはいけません。

慢性的な痛みで悩んでいる患者さんに

「あなたの痛みは思い込みなんです」

なんて言っても伝わりません。

 

そこにはテクニックがあるのです。

 

それこそが本来の問診なんです。

 

問診で何をするか?それは…

 

患者さんが抱えている問題(症状)を把握するというだけでなく、その問題によって引きおこされている悩みを理解し、それに対しての解決策を考え、患者さんのライフスタイルから性格から全てをしっかり踏まえた上で最適な提案を最適な順序で伝え、理解していただくだけでなく、患者さん自身もまだ予想だにしていない未来を一緒に創造し、患者さん自身がそれを叶えたいと強く望むようにすること

 

なんです。

だからこそ、我々は単に技術や知識を学ぶだけでなく、人として昇華していき居着かないようにしていかなければならないのだと思います。

コチラのページ→https://bk-adballoon.com/monshin-seminar/の「リピート率が上がった先生方の声」の「福岡市 整骨院 徳重」徳重 義雄先生の声を読んでいただければわかります。
その中に

 

そんな時にちょうど松村先⽣の院の⾒学をさせていただく機会がありました。

⼀番に感じたことは、松村先⽣が本当にフラットな状態で仕事していることです。
こんなにフラットに治療する⼈っているんだぁ〜、っていう感じです。どの患者さんに対しての接し⽅も施術にしても、全くブレなく⼀定のリズム・ルーティンでやっています。
今までに⾃費導⼊アカデミーでの問診講座でも教わっていたのですが、本当に普段教えてもらっている内容を⼀⼈⼀⼈に淡々と進めていき、施術が終わったら患者さんも当たり前のように治療計画に沿って次回の予約を取って帰られていました。

松村先⽣が以前に⾔われていたことで、「⾃費だからと特別なことをする必要はない」ということが本当に⾝に沁みました。

 

という部分があります。
私が今一番大事にしていることは「自然体」なんです。
力を入れすぎない、でも、脱力しすぎているわけではない状態。

そして徳重先生も問診のコツをお伝えしたところ

 

問診で細かく聞きすぎて⻑くなることや症状によって施術の組み⽴てを考えすぎていたことが多々あったのが、意識して実践しただけで変わりました。

 

こうなりました。

 

問診には、型があります。

 

 

あなたの「居着き」を解消するだけでなく、患者さんの「居着き」をも解消し、自然体で日々治療ができるようになりたいという国家資格をお持ちの先生は真・問診講座を受講してみてください。

受講後、あなたの居着きは解消されています。

 

明日が締切、そして問診講座が今年最後の講座となります。
次にあるのは1年以上後ということです。
残り2席となっております。

真・問診講座お申し込みはコチラ→https://bk-adballoon.com/monshin-seminar/

 

 


投稿者: 正隆松村