こんにちは、整骨院自費導入アカデミー主宰の松村です。
さて今回は交通事故について書かせていただきます。
私が開業する前に勤務していた某整骨院では
「事故の患者はVIPや。少々長くもんでもええ。でも患者は金払わへんねんから、下のスタッフに長くもませて毎日通わせろ」
と言われてました。
一応ね、雇われの身ですから
「はい、わかりました」
と返事はしてましたよ。
でも、嫌で嫌で仕方ありませんでした。
そんな扱いをしていたし、当時私は事故についての知識がありませんでしたから、
「治療代稼ぐために毎日来させるなんて申し訳なくてできないよな〜」
とか思ってたのですが、事故の患者さん、よくもまあ飽きもせず毎日通院してたんですよね〜
それが慰謝料的な金額に関係してくると知った時は
「あ〜、だからこの人こんなに態度悪かったんだ」
と妙に納得したのを覚えております。
開業しても、色々な事故の方が来られました。
本当にムチウチになって、頼ってきてくれた方も、治りかけたあたりから様子が変わります。
可動域も正常、触診しても正常、なのに、あとちょっとの痛みが取れない・・・・
痛いと言ってるだけだったというヤツですね。
最初は普通の態度だったのに、1ヶ月くらい経過すると、診察券を持ってこなくなるし、
「診察券出してください」
というと、
「そんなんいらんやろ」
という始末。殺意を覚えましたね。
あ、私は診察券を出すという行為は、一種の儀式的要素ですが必要不可欠と考えております。
現在は予約制なのでそのためにも必ず必要ですしみんな持ってきてくださいますが、予約制でもない保険の整骨院の場合は、その儀式を怠った時点で、患者にナメられると思っておりました。
受付時間少しすぎても平気で来る。
これはお断りしたところ、
「それだったら他の整骨院に行く」
と言われたので、ぜひそうしてくださいと言いましたが。
うちは下請け工場ちゃうぞって話なんですよね。
このように、最初は本当に痛くて通院してきた方も、途中から変貌することがあります。
誰か知り合いから、知恵付けられるんでしょうね。
もちろん、そうでない方もおられました。
歩いていて車に轢かれてちょっと吹っ飛んで転倒。
右手をついて右手関節の捻挫。
職業がカメラマンで、シャッターを押すのも痛くて困っていると。
で、他の整骨院に数回通院したけれど、腰や肩をマッサージされ、手関節はシップだけ。
で、お決まりの
「毎日来てください」
来れるかっ!!
ということで、色々探しているうちに私の院に来たという経緯。
もう問診の時から色々言われました。
「とにかく早く治したい」
「毎日は通院できない」
「不必要なマッサージはされたくない」
とリクエストしてこられました。
あ〜、こういうちゃんとした人もいるんだなと妙に感心したのを覚えております。
まあ歩行者対車で、軽く吹っ飛んで手関節の捻挫だけってのもかなりラッキーなんですが、捻挫自体もそんなにひどいものではなかったので3回の治療でシャッターを押す際の痛みは完全に消失。
4回目の治療の際、可動域等色々調べても、まあ日常生活には困らないレベルになっていたので治療を終了しました。
とても喜んでおられたのを覚えております。
余談ですが、この時の保険屋さんに証明書を郵送したところ後日電話があり、
「もう終わりですか?もうちょっとなら治療していただいても大丈夫ですよ。本当にもういいんですか?」
とやたらと念を押されたのを覚えております。
「だってもう治ったんで治療の必要ないでしょう」
と回答したら、
「そうですよね〜」
って言ってたのですが、この担当の方、それから自分が担当になった事故の被害者の方で西宮近辺に居住している場合は、毎回うちを紹介してくださってました。
まあ色々向こうも利用価値があったんでしょうね。
とまあ、保険でやっていた頃から、あまり積極的に事故を診ることはしてませんでしたが、これには理由もあるんです。
まずひとつは、↓をご覧いただければと思うんです。
http://matsumura-jtac.com/info/trafficaccident
これ、実話なんですね。
今思い出しても超ムカツク。
これね、うちが契約している保険屋が治療代とか支払うわけじゃないですか。
全部通知がうちに来るわけですよ。
相手が超ムカつくヤツで、そいつがどこどこの整骨院に月何日通院して、いくら払われたのか通知が来るわけです。
しかもね、首が痛い首が痛いって言ってて、診断書にも「頸椎捻挫 全治1週間」と書かれながら、整骨院での請求は「頸椎捻挫」「腰椎捻挫」「右下腿下部挫傷」ですよ。
恐ろしいわ、ホンマ。
まあ私の場合は明確な加害者ではなかったわけで、余計に腹が立ったわけなんですが、これ、明確な加害者の方でもやっぱり良い気分はしないと思うんですよね。
だって、だれも事故を起こそうと思って事故したわけじゃないじゃないですか。
そりゃ不注意で人を怪我させてしまったことに関しての責任は取らないといけない。
以前知り合いが、オカマ掘ってしまって・・・と言っても信号待ちでクリープ現象だけでコツンとあたっただけなんですが、最初は別にどこも痛くないと言ってたし、車も全然損傷がなかったんですが、後日、首が痛くなっただの、手が痺れるだと言ってきて、病院行ったけど治らないから整骨院に行くからな!とか、ゴネてきたらしいんですね。
まあそんなことで私に相談してきたのですが、加害者になった時点で弱いわけだし、まあ保険入ってるから自分の腹が痛むわけじゃないから、行かせてあげればと言ったのですが、その後調子に乗った被害者は、なんと無資格の整体まで行くと言い出す始末。
まあ交渉は保険屋がやったのですが、保険屋も保険屋で認めてしまいやがったんですよね。
頸椎捻挫と医師も診断書を出した傷病を、柔整師でもない無資格の整体屋が治療する、これは本来柔道整復師法上アウトな行為なわけですよ。
保険屋ももっと勉強せいって話なんですけどね。
まあ通知が来るからどこの整骨院に通院したかも、どこの整体屋に行ったのかもわかっちゃうわけですよ。
知り合いもそういうところには行くことはないでしょう。
そして私もその西宮市の整骨院のことは恨んでいます。
そう、ゴネた自称加害者への怒りは、それに加担した院にも向かいます。
勝手に部位まで追加して。
ホームページ見たら「交通事故専門院」って書いてましたね〜
同じ専門学校出身ということまで調べ上げちゃいました♬
鍼灸は行岡のようですが。(結構執念深いです)
とまあ、怒りの矛先がこちらに向くというのが嫌という理由がひとつ。
もうひとつは、正直、面倒に巻き込まれたくないというもの。
これは冷たいと思われるかもしれませんが、私は医療人ですので、治療をする専門家なわけです。
もちろん、患者さんの不安を取り除くための努力は最大限します。
しかし、正直、裁判の資料にカルテを出してくれだとか、後遺障害認定のために、証明書の文章をこう書いてくれだとか、めんどくさい。
いやね、もちろん本当なら最初からちゃんと書きますよ。
「ちょっとでもゴネて、1円でも多く慰謝料もらったろ」
って言う人たちを手伝うのがめんどくさいんですよね。
確かに、事故でお困りの方もたくさんおられると思います。
でも、事故でマーケティングすると、たくさん事故で怪我された方が来ることでしょう。
どうなるか?
本当は困っていない方もたくさん来てしまうということになります。
だからうちではあまり積極的に交通事故のことをアピールしないわけです。
それに、部位の付け増しをせず、罨法をしなかった時や包帯交換等しない場合にはそれもちゃんと付けず、本当に正しく請求していれば、単価は私の1回の治療代の方が高いんです。
交通事故は確かに悲惨です。
何も悪くないのに怪我をさせられ、辛い思いをすることになります。
でも我々は警察でもなければ弁護士でもないわけです。
餅は餅屋、我々は治すという行為に全力を注ぐべきであって、通院1日につきいくら支払われるとか、治療に直接関係のないことなどは口にすべきではないし、そもそもホームページなんかで書く必要すらないと思うんですね。
で、もし本当にとことん事故系を扱いたいのなら、弁護士まではいきませんが、保険の専門家並みの知識を身につけて、裁判にでもなんでも出ていってやるぞという覚悟が必要なんだと思います。
私は、私のことを必要としている患者さんを全力で治療する覚悟はありますが、その他のことには覚悟が持てないのです。
「交通事故はおいしいから」
「健康保険が厳しいから」
「負担金がないから通わせやすい」
そのような、覚悟のない理由で交通事故患者さんを集めるのは、やめた方がいいでしょう。
一時期稼げても、必ず何かそれ相応のデメリットが生じるものだと思います。